サステナビリティ ステークホルダーダイアログ
2024年11月にグランドオープンしたTODA BUILDING(以下、TODAビル)。「人と街をつなぐ」をコンセプトに銀座や日本橋と隣接する文化の中心地?京橋における、新たなランドマークとして注目を集めています。TODAビルという新たなシンボルの社会的な意義やインパクトについて、ダイアログを実施しました。
开催日:2025年1月20日
开催场所:含羞草传媒 本社ビル
「100年に一度の建て替え」がついに完了
蟹泽:罢翱顿础ビルの竣工、改めておめでとうございます。早くも约2カ月(※対谈実施时)経ちましたが、各方面から反响がおありなのではないですか?
社长:ありがとうございます。おかげさまで「京桥という街自体に存在感が生まれた」「耐震性能が素晴らしい」「ゼネコンでここまでやるのは珍しい」などと褒めていただきますが、リップサービスだけではないだろうと信じています(笑)。フリーアドレスオフィスにいる社员たちも、充実して仕事に打ち込んでくれているように见えますし、翱叠见学会で来た元社员の方々も「こんなビルで働ける今の社员がうらやましい」言ってくれます。今年からいよいよテナントの入居も始まり、来年6月までに入居が完了する予定です。振り返ってみると、60年间使ってきた旧本社ビルからの「世纪の建て替え」には、これまで培った知见?技术だけではなく、含羞草传媒がゼネコンとして目指したい在り方を体现していくという思いも込められています。技术面でもそれ以外の面でも、エポックメーキングだったなと実感しています。
地域のブランドを底上げする多様な価値の発信地
─まずは、罢翱顿础ビルのコンセプトについて教えてください。
社长:罢翱顿础ビルは「人と街をつなぐ」というコンセプトの下、都市再生特别地区※、土地区画整理事业といった开発制度を活用し、地域防灾力の机能强化に加え、「新たな芸术?文化の拠点」を创出することを掲げています。本社ビルでありながらも、决して自分たちのためだけの建物ではなく、地域の価値を底上げする存在であることを大切に设计されています。
蟹泽:学生たちとも见学させていただきましたが、京桥交差点から来て眺めると、隣接するアーティゾン美术馆のビルととても一体感がありますね。
社长:ビルの高さも外壁などのデザインも、意识して调和させました。この罢翱顿础ビルの価値やポテンシャルを多方面に展开できた背景として、アーティゾン美术馆さんや永坂产业さん(美术馆が入っているミュージアムタワー京桥を运営)と一绪にできることになったことが大きいです。
敷地としてもともとあったのは中央通りに面した半分ですが、それをほぼ正方形の敷地にできたことで、都市再生や地域貢献のための「都市再生特別地区」の指定を受けられ、容積率が約730%から1,300%と大幅に増えて余裕が生まれたこともありパブリックアート、防災?減災、环境エネルギーなどと、いろいろな要素を盛り込むことができました。
先日、中央区の区長さんと会談した際は、「新しい芸術と文化の拠点ができて京橋の街に存在感が生まれ、銀座 - 京橋 - 日本橋という魅力的な街のラインがつながった」と言っていただきました。
蟹泽:公司の本社ビルというものは、セキュリティー面の理由から一般的にはもっと闭锁的ですが、このビルの1~3阶は谁もが行き交うことができ、とてもオープンな感じですね。ゼネコンの本社かつ超高层でフロア数にも余裕があり、丸ごと自社だけで使うのではないという背景が良かったのでしょう。それにより、いろいろな特徴とチャレンジが生まれたのですね。
社长:低層部は誰でも利用できる芸術文化エリアで、1階~3階の共用部 パブリックアートプログラム「APK PUBLIC」では4人の作家の作品を展示し、一定期間でまた違う作家に更新されます。作家や作品を固定化せずに変えていくのもポイントですね。隣のアーティゾン美術館とはまた異なり、当社は現代アートを積極的に紹介することで相互補完ができると考えています。芸術文化エリアの貨物エレベーターは大型で荷重4.5tまでの作品や車なども運べますよ。
私自身、アートが好きなので毎日眺めるのが楽しいですし、当社の社员やテナントに入られる公司の方も、出退勤时にここを通るだけでも、気分転换や刺激になると思います。
蟹泽:普通は1~2阶までの商业テナント阶の上にオフィスが入る「ゲタ履き」ビルが多いですが、アートを强调するのは建物の付加価値になりうる新しい発想と试みですね。お客さまが来社时に「おしゃれな空间だな」と感じてくれることは、社员の皆さまのモチベーション向上にもつながるのではないでしょうか。敷地ギリギリまで建物を建てずにセットバックさせ、ビルの前面に広いスペースを设けたのもいいですね。都心のこういう公共空间は、他には丸の内仲通りくらいしかないので希少だと思います。
社长:広场には灾害时にトイレにできる设备もありますし、エントランスロビーの1阶、中央通りに面したガラス建具や1阶のカフェの窓は回転して开放できるので、ビル内外の一体感が出せます。一部屋根のある免震広场で、両街区で中央通り侧に120mもあるので、さまざまなイベントもにぎやかに开催できると思っています。
蟹泽:いろいろな可能性を秘めていて、これからが楽しみになりますね。技术面でも、かなり高度な取り组みをなされていますね。なぜここまで大変なチャレンジをしたのだろうと気になっていたんです(笑)。じっくりお闻かせください。
- ※都市再生特别地区:都市の再生拠点として特例的に、建筑基準法で定められた一般的な法规制(容积率の最高限度など)に制约されず、自由度の高い计画を定めることができる地区。各都道府県の都市计画により决定される
技术面の注目ポイント1 耐震性能
─罢翱顿础ビルの技术面での注目ポイントをお闻かせください。
蟹泽:特に超高层ビル(地下3阶、地上28阶建て)の免震化はチャレンジングでしたね。非常に大変だったと思いますが、なぜそこまでやったのですか?
社长:私が昨今提唱している「突出価値」をつくりたい、「世界一」を目指せるといいな、という想いがありました。もちろん、むやみやたらとお金をかけられるわけではありませんが。罢翱顿础ビルの建物全体を「见える化」つまりショールーム化して、当社の优れた技术を社外に発信し「うちならこんなことができますよ」と言えれば、技术力での受注につなげられます。特にコアウォールについては、构造设计の担当者に「どうせやるなら彻底的にやりましょうよ!」と热く説得されました(笑)。高い刚性と耐力を确保した鉄筋コンクリート造のコアウォールを、エレベーターを囲むようにダブル贬形に配置して建物の心棒とする构造です。これは当时国内で数例しかありませんでした。
蟹泽:コアウォールは耐震性能が建筑基準法の1.5倍で、揺れや変形は鉄骨の半分。揺れを小さくするので长周期地震にも强いのが特徴です。揺れが大きいと、建物自体は壊れなくても内装や家具が壊れてしまうので、コストや工期を考えても建筑主、そしてユーザーには魅力的だと思います。地下阶の免震装置エリアも拝见しましたが、巨大で圧倒的ですね。直接基础の耐圧盘の厚さが6尘もあり、コアウォールを受けている积层ゴムの免震装置の上下のスラブが2.5尘と3.3尘の厚みでビルの荷重を受けている。ここにいれば何があっても大丈夫だと思いましたよ(笑)。
社长:地震が発生した际などは近隣の方たちに避难していただけます。积层ゴムの免震装置はビル全体で52基あります。
蟹泽:现场は何回か见学させていただきましたが、コアウォールや免震装置の他にも机械室など、完成后もビルの要所を见えるようにしているのがいいと思いました。
技术面の注目ポイント2 施工の自动化
社长:人手不足への対応と超高层建物建设の安全?省力化のため、现场では鉄骨建方の自动化施工技术を活用しました。クレーンのオペレーターも、以前のようにクレーンの上の操縦室にいるのではなく、远隔操作です。吊荷姿势?制御装置?仮ボルトレス?自动玉外し?自动建入れ制御など最终的には、ほぼ无人で鉄骨建方が行われることを目指しています。また、今回はビルの本设エレベーター(非常用)を工事にも使うことにしました。民间のお客さまでしたら抵抗感があるでしょうが、自社ビルなので问题ありません(笑)。このおかげで工期が大きく短期化できました。この他、自动溶接ロボットも导入しました。
蟹泽:本设エレベーターの工事での使用は画期的ですよね。シンプルな発想の転换ですが効果が大きい。こういうことは、なかなかできそうでできないものだと思います。コアウォールは、日本ではまだ少数ですが実は世界の主流です。世界标準のやりかたは今后の标準化につなげやすいので、もっと普及していいと思います。そして施工の自动化はもちろん进めなくてはいけませんが、それを何のために追求するのか。「生产性を向上させる」という目的の、さらに先を考えるべきだと思います。自动化はそれによって确保できた时间で、技能者の皆さんがもっと付加価値が高いことをやるためだと思うのです。物を运ぶようなきつくて付加価値の少ない労働はロボットが时间外に行い、技能者の皆さんが朝出勤すると必要なものがすでに现场に届いているようにする。そして技能者の皆さんは、専门性の高い仕事に集中して生产性を高めることで処遇をアップする好循环を生み出すのがベストですね。
社长:担い手を确保するためにも、おっしゃる通りだと思います。
技术面の注目ポイント3 滨罢の活用
蟹泽:滨罢技术も、かなり活用されたそうですね。
社长:建物をスマートビル化する技术として、颜认証で入退馆、自动で目的阶行きのエレベーターを呼び出すなどが可能なほか、照明?空调?ブラインド操作をスマホから操作できるシステムも导入しています。私自身まだ使い切れていないのですが(笑)、谁がビル内のどこにいるかリアルタイムで分かるようにもなっており、会いに行きやすくて便利ですね。コロナ祸以降、非接触型のシステムが重要な価値を持つようになり、テナントに入る公司からもこれらのシステムを採用したいと希望されています。
蟹泽:罢翱顿础ビルのように、地域に开かれたビルでありつつセキュリティを确保するには、そうした滨罢技术が必须ですね。いたるところに防犯カメラをつけるわけにはいきませんから。
社长:头上から风を送るよりも快适な床吹き出し空调も导入しました。また执务スペースも天井を覆わずに开けておき、各种のセンサーを取り付けられるようにしています。まだまだ完成形ではなく、今后も新しいことができるようになるはずです。
技術面の注目ポイント4 环境性能
蟹泽:环境面でもさまざまな技術を導入し、各種の認証を取得していますね。
社长:环境認証ではCASBE贰※1で最上級のSランクを、また超高層複合用途ビル建物全体で、ZEB Ready認証※2取得。DBJ Green Building 認証は5つ星※3、尝贰贰顿※4はGOLD、WELL Building Standard v2※5ではPLATINUMも取得予定です。环境配慮のために用いた技術は、太陽光発電や、吹き抜けによる自然換気、フィンをつけた外壁による日射制御、気温変化の影響を受けにくい地中熱を活用した空調、などの多岐にわたります。また、この(頭上の)木のトラス状のオブジェもですが、役員フロアの内装やカフェカウンターの天板に、持続可能な林業のために当社が協定を結んでいる北海道下川町の木材(トドマツ?カラマツ?アカエゾマツ)を用いています。下川町の林業の映像は当ビルの8階ミュージアム「TODAtte?」のダイナミックビジョンでもご覧いただけます。
蟹泽:この天然木のオブジェや内装は実に美しいですね。よくある集成材ではなくて无垢材で、赤身と白太と树种※6を使い分けているのも心憎いし、建具も纳まりやディテールがプロっぽい。设计か施工の担当者が木をよく知っているのでしょう。かなりの知识と技术がないとこういうものはつくれませんよ。
社长:ありがとうございます、担当者が聞いたら喜びます(笑)。これらの内装もFSC? プロジェクト認証※7を取得し、トレーサビリティを确保した木材を準不燃化処理し超高层ビルで大量に使用した希少な事例として、高く评価していただきました。
- ※1CASBEE(キャスビー):エネルギー効率、資源の有効活用、环境負荷の削減、利用者の健康と快適性という4つの評価項目から建築物の环境性能効率を5 段階で評価する国際認証制度。
- ※2ZEB Ready(ゼブ?レディ):年間の一次エネルギー消費量で基準値から50%以上削減した、高断熱化し省エネ設備を備えた建築物。国土交通省の主導により第三者機関が認証。
- ※3DBJ GreenBuilding:国内トップクラスの卓越した「环境?社会への配慮」をしたビルとして最高評価を取得
- ※4LEED:世界で広く利用されている环境性能評価システムで「GOLD」を取得予定
- ※5WELL Building Standard v2:TODA CREATIVE LAB 部分において最高評価を取得予定
- ※6赤身:木の中心侧の色が浓い部分。古い细胞で腐朽や虫害に强い
白太:木の外侧の色の薄い部分。若い细胞で腐朽や虫害に弱い - ※7FSC? プロジェクト認証:环境、社会、経済の便益にかない、きちんと管理された森林から生産された之b物を使用した建築空間などを目に見える形で消費者に届ける仕組みの国際認証制度
未来のための担い手を育成
─罢翱顿础ビルは含羞草传媒の歴史において、一つの大きな节目になりました。今后、取り组んでいきたいテーマや课题はありますか?
社长:衣食住と言われるように、人间にとって建物はなくてはならないものですから、建设业という仕事も决してなくならないと思います。しかし近年の担い手不足で、このような复雑なビルが日本ではつくれなくなってしまうのではないかという危机感を持っています。
建設業には人類最大規模のものがつくれるという重厚な魅力があり、私が入社した1980年頃は報酬や地位、そこで働く意義も高かったと思いますが、いわゆる「失われた30年」の間に、簡単さや小ささ?軽さに価値が移ってしまったような気がしています。私の母校の工学?建築系の学生は昨今ゼネコンに就職することが少ないと聞きガッカリなのですが、蟹澤先生の学生は毎年当社に入社してくれますね。私自身は入社の動機は今思えば軽薄なものでしたが(笑)、やはり入ってみると意義がある仕事だと実感しましたし、入社してくれた人にはいい体験をしてほしいと思っています。アート、环境、海外など、やりたいと言えば社内にやる部署があります。社会的インフラは必要ですし、建設業は絶対になくならない大事な仕事だと、業界全体として発信したいですね。
蟹泽:建设业従事者の人口は、就业人口全体の减少率よりも高い割合で减っているのが现実ですが、建设业で担い手を育成するためには、协力会社へのサポートが急务だと思います。このビルも、利友会など协力会社のすごいところを集めたからつくれたのではないかと思うのです。専门工事会社を安さで选ぶようなことはやめて、大事な协力会社の体制づくりとして、ゼネコンは协力会社の中の担い手も、今まで以上にしっかり育てなくてはなりません。技术面でふれた施工の自动化も担い手不足への対応の一环ではありますが、パートナーである専门工事会社の中にいる人が、より付加価値の高い仕事ができるように、含羞草传媒がサポートしていくことですね。今后は滨罢でよりはっきりと各人の能力が测れるようになります。
また、建设业で离职率が高い背景には、将来が见通せないという问题があると思われるので、协力会社の方にも「これを顽张ればもっと上にいける」という道筋をゼネコンが示せるようにすると良いと思います。
社长:协力会社の方を今后ますます大事に育成しなくてはいけないのは、全くご指摘の通りです。ミュージアム「罢翱顿础迟迟别?」のダイナミックビジョンでは、実际にビル建设现场にいるような映像を大スクリーンで见られますが、映像の中でも大势の协力会社の方が顽张ってくれています。来社される协力会社の方にもぜひ见てもらいたいですね。担い手やこれから担い手になり得る人に、建设业や建设物の魅力を伝えていきたいと思っています。
蟹泽:大谷社长のおっしゃる通り、建设业はなくならない产业で、产业の规模も大きいのでもっと付加価値を付加できるはずです。顿齿など开発しなくてはいけないことが多々あり、高付加価値化の伸びしろは大きいと思います。そのためにも业界全体で「脱?昭和」をし、働き方改革をしっかりやることが不可欠だと思います。
高付加価値化をどう実现するか
─建设业における高付加価値化をどうやって実现するか、お考えをお闻かせください。
蟹泽:付加価値の高い建筑物をつくっていくやりかたは、今后二分化していくと考えています。
一つは、现场で设计と施工が擦り合わせて、より良い物をつくる、昔から日本が培ってきて得意としてきた「栋梁スタイル」的なやりかたです。そしてもう一つは、设计者が描いたスケッチのような早期の段阶からゼネコンが参加して実施设计をつくり込んでいくやりかたです。今后はこちらのスタイルがより重要になると思います。
社长:「実际にどうやってつくるか」までを考えられなければ良い设计はできません。逆に言うと、そこを考えていない设计だと、耐久性が足りなかったり、つくるための作业自体が危険になったりします。当社の生产设计やフロントローディングの担当部署では、设计や施工の特徴について叠滨惭モデルを使って见える化し、设计者?施工者?発注者の早期合意形成を図り、「着工前」の「できるだけ早いタイミング」で、施工に関わるあらゆる课题を解决しておくようにしています。
蟹泽:御社の生产设计职は就活中の学生に人気ですが、御社は施工図部门が内製化されていて设计と现场の距离感が近く、生产设计を通して建设の仕事の全体に関わることができ早く一人前になれるという期待感があるからだと思います。
従来の日本の建设业は、スケッチに描かれたイメージを実际につくれるように详细设计するという、最も付加価値の高いクリエイティブな仕事を、ゼネコンは受注のために无料サービスにしている面がありますね。そこは改め、详细设计のプロセスだけでお金を稼げるようにしていいと思います。叠滨惭の时代にはますます大事になりますし、何よりも仕事として面白いですよね。
社长:はい。そのためには、设计者が现场をよく知って、设计と现场がいい関係性をつくることが不可欠です。私も现场で施工のノウハウを教わったことで、设计の理解が深まった経験があります。
これからが「Build the Culture.人がつくる。人でつくる。」の本番
─今后も取り组むべき含羞草传媒の课题をどう思われますか?
社长:未来ビジョン颁齿150で示した4つの事业展开领域※は、人間にとってすべて必要なことで、どの領域でもわれわれが価値を提供できることを示していかなくてはなりません。それとともに、TODAビルのこれからともいえますが、ブランドスローガンの「Build the Culture. 人がつくる。人でつくる。」を実践する。つまり「ただ単に建物をつくるだけではなくて、その先の人の営みをつくっていく」ことです。
つくったビルにオフィスやテナントを集めてしっかり运営し、にぎわいを创出していく。そしてまた新たなクローズドループ(ものをつくり、运用し、解体し、またつくり直すというサイクル)から得られた知见を、さまざまなところでわれわれの力として発展させていきたいと考えています。
- ※4つの事業展開領域:スマートイノベーション領域/ビジネス&ライフサポート領域/都市?社会インフラ領域/环境?エネルギー領域
対谈を振り返って
蟹泽:社长にいろいろとお闻きして、いろいろな気持ちのこもった社屋だと再认识しました。建设途中のことなどは、今日のお话を闻いて初めて知りました。建设业界や含羞草传媒の未来への想いを実感しましたし、社员の方たちにもここに託された「梦」をぜひ感じてほしいですね。
社长:蟹泽先生には重要なご指摘やご提言をいただきました。担い手の育成はまさに喫紧の课题で、どこまで施策をやれるかが死活问题だと思います。当社やゼネコンだけの课题ではなく、建设业全体の切実な课题としっかりとらえ、业界や国とも话し、全社で取り组まねばなりません。今日は本当にありがとうございました。
蟹澤 宏剛( かにさわ ひろたけ)氏
芝浦工業大学 建築学部 建築学科 教授
戸田みらい基金 理事
千葉大学大学院工学研究科修了。芝浦工業大学建築学科教授の傍ら、国土交通省「専門工事企業の施工能力の見える化等に関する検討会」座長、国土交通省?厚生労働省「建設工事従業者安全健康確保推進専門家会議」委員長などを歴任し、建設業界の労働环境改善に取り組む。専門は建築生産、建築構法(主に木造)。工学博士。
大谷清介
含羞草传媒
代表取缔役社长
大谷社長のもとで推進してきた「働き甲斐改革」は2024年に4年目を迎えます。3年間の取り組みを経た今、改めて取り組むべきポイントとは? 日本企業の人材育成について、ご自身の経験と理論に基づき人材育成論について情報発信をしている坂井風太さん(Momentor代表)をお招きし、ダイアログを実施しました。
开催日:2023年12月13日
开催场所:含羞草传媒 本社ビル
今、改めて考えたい。「働き甲斐改革」は本当に社员の皆に届いているのか?
社长:本日はお越しいただきありがとうございます。今回、坂井さんにぜひお会いしたいと思ったのは、当社の人材育成とマネジメントの现状について、専门家でいらっしゃる坂井さんの知见や経験を伺い、人の能力を引き出し、强い组织をつくっていく取り组みにヒントをいただけたらと考えたからです。
そしてまた、若い人たちの仕事やキャリアについての価値観や考え方についても、ぜひ详しくお闻きしたいからでもあります。当社でも多くの若手が働いてくれていますが、その人たちに対して「これまでどおりの向き合い方でいいのだろうか?」「私たち上の世代は、若い世代をちゃんと理解できているのか?」ということを、今改めて问い直しています。これは社长である私一人の问题意识ではなく、管理职やベテラン世代も、同じような疑问や迷いを抱えているのではないかと思っています。どうぞよろしくお愿いします。
坂井:はい。おっしゃるとおり、若い世代を含め、働く人たちの可能性を引き出し、组织の力を强くして目标を达成していくためには、その人たちの価値観や考え方を的确に理解し、そこにしっかり刺さる?腹落ちするように働きかけるマネジメントが必要です。本日はこれまでに私が経験し学习してきた事例や理论をご绍介することで、何かのご参考になればと思います。こちらこそどうぞよろしくお愿いします。
社长:坂井さんが出演されている YouTube チャンネルを拝見しましたが、企業における人材育成の課題についての、情熱的で理論的な語りが印象的でした。この分野をご専門として起業されたきっかけやモチベーションは何だったのですか?
坂井:ずっと組織マネジメントの仕事をしてきたというキャリアはありますが、この仕事へのモチベーションは、私自身の経験にあります。入社1年目の頃は「出来の悪い社員」と見なされていたのですが、2年目に別の先輩につくことになったら、急に評価が上がったのです。私自身の資質は何も変わらないのに、指導係やメンター的存在の関わり方しだいでこんなにパフォーマンスや評価が変わるのかと驚きました。若い人たちが SNS などで「配属ガチャ(※)が会社員人生を決める」などと言いますが、実は「上司?先輩ガチャ」のほうが重要です。
そして、自分が中坚の人事担当になったとき、人材育成やマネジメントが上手ではない、または意识が低いマネージャーにどう働きかけるかという际に、経験と理论をベースに话すことで、感情的にならずに纳得してもらいやすいと実感しました。このように、実践知と理论を共有して话し合うことで、组织の课题を解决できると确信したことが、この仕事を続けるモチベーションになっています。
※配属ガチャ:新卒入社の场合、配属まで部署?职种?勤务地などが分からず(本人は选択できず)、希望どおりにいくとは限らないことを、カプセルトイ(ガチャガチャ)になぞらえた言叶。「当たり外れがあるが、引いてみないと分からない」といった不安や、入社后の自分の运命が一方的に决められてしまうことへの皮肉を込めた表现。
社长:なるほど。ご自身の体験を経て理论を语られているからこそ、説得力があるのですね。
社长:それではまず、私が社长に就任した2021年から进めている「働き甲斐改革」について説明させていただきます。「働き甲斐改革」とは、「働きやすさ改革」と「仕事のやり甲斐アップ」の両立を目指すものですが、この3年间で行ってきた具体的な取り组み内容を、人材育成に関するものに绞って、简洁にご绍介します。最初の2021年度は、「働き方改革から働き甲斐改革へ」を新たなテーマとして掲げ、「连帯感?达成感?公平感の达成」「自己発働型社员の育成」「価値観の再构筑」を提唱しました。
社长:このように「働き甲斐改革」に3年间取り组んできましたが、実は今「働き甲斐というキャッチフレーズやこれらの施策が、若い人たちや中坚?ベテラン层など、みんなの心に本当に届いているのか?」と问い直しており、この先は何を掲げるかを思案中です。
「不満はないけれど、不安はある」若い世代が抱える时代背景や时间轴を理解することが大切
坂井:詳しいご説明をありがとうございました。含羞草传媒でもすでに必要性を認識して改革に取り組まれているように、人材育成が企業力の向上にレバレッジをもたらすのは確実だと思います。一方、方向性の誤った施策が逆効果となりやすいのも現実です。ご質問をいただいた「若い世代が仕事や職場环境についてどのように感じ、考えているか」ということに触れつつ、現代日本の企業における「若手育成」の現状と課題をお話しします。まず、若い人たちが会社や職場に対して「いても無駄」「言っても無駄」と見切ってしまう現象が増えているように思われます。
「いても无駄」というのは「この会社?职场は働きやすいけれど、ここに居続けても成长できない」という感覚です。いわゆる「ゆるブラック公司」ですね。社内に「自分もこうなりたい」と憧れるような上司や先辈を见いだせず、「このままここにいたら、自分もこうなってしまう」と感じて早期に転职してしまうのです。このように「社内でキャリアを积んでも、どの会社でも通用する人材になれるとは思えない」ことを「キャリア安全性の欠如」と言います。
次に「言っても无駄」という感覚ですが、上司や先辈に何を提案しても「経験の浅い若手に何が分かる」と、まともに取り合ってもらえないため、諦めムードがまん延してしまいます。「キャリアの长い上司や先辈が、経験の浅い若手よりも常に正しい」という偏った考え方は「生存者バイアス」とも呼ばれます。成长への意欲が高く优秀な人ほど、このような「いても无駄」「言っても无駄」な会社?职场からは早期离脱してしまいます。
坂井:「いても無駄」という、キャリア安全性の欠如による見切りが発生する背景には、「若手の仕事人生がより難しく長期化している」という、日本の労働环境の構造変化があります。もはや終身雇用を前提にできず、さらに高齢化や年金支給開始年齢の後ろ倒しなどで働き続ける期間は長くなるので、「早くどの会社でも通用する人材になりたい」というニーズが高まっているのです。さらに、「一人前」になるまでに必要な育成年数についても、上司世代では10年程度なのに対し、若手は2~3年と捉えていて時間感覚にギャップがあることも、「この会社にいても大丈夫なのか」という不安を引き起こします。
一方で、「言っても无駄」という諦めを引き起こす「生存者バイアス」が起こりやすい背景には、一定以上の社歴があれば谁でも人材育成やマネジメントの担当になり得るので、理论を学习していない人の、现场によってバラバラな「自己流」が横行しやすいことがあります。「无理をさせなければ成长しない」「新人のプライドは最初にへし折るのが肝心」などのセリフはその悪い例ですね。管理职?上司?先辈が、自分が受けた教育をそのまま部下に押し付け、たまたま教育方法が合っていた人だけが伸びて生き残り、その他の人はやる気や自信を失ってしまいます。その结果、生かせる人材の幅が狭まり、生存者バイアスが再生产?再强化されるのです。このように育成やマネジメントの手法は次世代に継承されていくので、早めに対処しなくてはなりません。「若手が育たない?すぐに辞めてしまう」「辞めた人とは相性が悪かった」などと言う前に、自社の育成やマネジメント体制を见直すことが必要です。
结果の前の小さな成长を见逃さないことが働き甲斐の种になる
社长:うーむ。せっかく入社してもらった社员に、「いても无駄」「言っても无駄」な会社だと失望?転职されてしまうなどということは、経営トップとして残念だとしか言いようがありません。上の世代に「生存者バイアス」があれば解消して、そういった事态をなんとしても避けなくては……。しかし「上司ガチャ」、上司や指导役の当たり外れやミスマッチはあり得るでしょうね。当社にもメンター制度があるので、メンターを一人だけではなく复数にするのはどうかと考えているのですが……。
坂井:メンターを取り入れるという点は、人材育成において大きなメリットがありますよね。自己効力感や学习意欲といったどんな时代でも必要な人间力の部分はメンターの存在によって育まれることが多いと思います。また、复数のメンターを持つことは、さまざまな视点を取り入れるきっかけになります。一方で、リスクがあって、メンター间での助言が食い违うと若手が当惑しますし、自分がチェックされているように感じる「モニターストレス」も増えやすくなるので、その点は要注意です。一般的に育成やマネジメントを行う主役はミドル(中间管理职)层になりますが、「一つの会社で终身雇用が当たり前」「会社に尽くすのが当たり前」ではなくなった今、事业と组织运営の両方を担わなくてはならないミドル(现场管理职)层の负担は急増しています。ミドル层による适切な育成を期待するだけではなく、全社员がマネジメントの理论を学び、「このやり方は良くなかったな」「このやり方はうまくいったから他の仕事でも试してみよう」などと、自分で気付いて把握する経験学习が重要です。そうすることで、社内の真の経営课题も明确化すると思います。
社长:よく分かりました。先ほど「キャリア早期での见切りが発生している」というご指摘があったように、若い人はタイム?パフォーマンスを重视するようですね。働き甲斐を実感してもらうには、若いうちに成功体験を积んでもらうことが有効ではないかと思っているのですが。
坂井:おっしゃるとおりですね。成功体験をひもとくと、私は営业成绩といった客観的な成功体験と、「できなかったことができるようになった」という主観的な成功体験の2种类に分けられると考えています。いかに主観的な成功体験を重ねていけるか、そしてこれをメンターなどの周りの人が気づかせてあげられるかが大切です。売り上げや受注件数といった谁もが分かりやすい成果が出る前に心が折れてしまう场合もあるので、そのずっと前の段阶で、小さな达成感を抱ける経験を重ねてもらえるといいですね。
「2週间前はできなかったことが、今はできるようになった」などと、段阶的に少しずつでも伸びている?进歩している実感を持ってもらい、上司や先辈もそれをフィードバックしていくと良いと思います。そして结果的に「成果も出せた」となればベストです。
社长:「いてもムダ」(成长できない会社にいても时间のムダ)という感覚から、若い世代にキャリア早期での见切りが発生しているという坂井さんの分析をお闻きすると、経営者として「何とかしなくては」と痛切に感じます。意欲が高く优秀な若手に辞められてしまうのは、公司にとって大きなダメージですから。
坂井:「自分なら挑戦したことを达成できる」という自信を「自己効力感」といい、この感覚が意欲や顽张りの土台になりますが、会社という组织で能力を発挥してもらうにはそれだけではダメで、「自分たちならできる、だからこの会社でやりたい」という「组织効力感」が必要です。组织効力感がある职场とは、「いてもムダ」感のある职场の真逆ですね。自己効力感だけで组织効力感がない场合は、「自分ならできるけれど、别にこの会社でやる必要はない」と感じ、会社や部署の业绩が厳しくなってくると、どんどん人が辞めてしまいます。反対に组织効力感があれば、「状况は厳しいけれど、この仲间たちとならまだまだ行ける気がする」と踏ん张ることができ、停滞から脱出できる可能性が大きいのです。
社长:なるほど。私は働き甲斐改革を推进するにあたって、「デビッド?シロタの言う『热狂する社员』になろう」と社员たちに呼びかけてきました。热狂する社员とは、达成感?连帯感?公平感がもたらす高いモチベーションを持ち、组织と自分を同一视している、つまり会社に自分のアイデンティティを重ねている人です。连帯感を抱き、会社と自分を同一视することは、「组织効力感」と共通しているように思えますね。
坂井:大谷社长ご自身が「热狂する社员」であろうとしているのですね。働き甲斐改革に地道に取り组まれているその热量は、どこから来ているのでしょう? 社长ご自身の働き甲斐は、どんなものなのですか?
社长:私自身の働き甲斐というと、若い顷から「仕事で会社に贡献したい」と思っていました。そう考えることで仕事を顽张れるからという面があったと思います。「自分のために」ではなく、「他の谁かや会社のために」と思う方が顽张れるタイプなんです。性格的に、个人プレイよりもチームプレイが好きだからかもしれません(笑)。
人材育成の理论や言动を社内で共有することが大事
坂井:今日、ほとんどの公司が组织改革や人材育成に取り组んでいる一方で、同じポイントでつまずいているケースも多く见られます。そういった现代の日本公司における「组织制度の叁大问题点」についてご説明します。
まず①「働き甲斐」を置き去りにした「働きやすさ改革」の问题ですが、御社はすでに3年前から「働き甲斐改革」で手を打たれていますね。
第二に、②人材育成における「勘とセンスと自社流」の横行です。「自分はこのように育ってきたから、若手も同じように育てればよい」という生存者バイアスが止められないと、上司?先辈と同じタイプ以外は「やればできる」という自己効力感を持つことはできず、「上司や会社に言ってもムダ」と内部の白けムードが进んでしまいます。
最后に、公司のトップが対外的アピールとなる③「空中戦」を重视し、真に重要な现场の「地上戦」を軽视してしまうという问题です。新部署の设立や新しい制度?研修の导入など、メディアや投资家からのウケの良さそうな新施策に投资する一方で、组织の実态をつくる基盘である、现场の中间管理职层には具体的な支援がない。これでは组织効力感は育ちません。
社长:「空中戦」と「地上戦」のギャップを埋めなくてはならないということですね。そのために具体的にどんな施策や支援に落とし込んでいくべきか。働き甲斐改革の取り组みを始めて3年経った今、思案しているところです。
坂井:施策として、マネジメントや人材育成の理論を全社的に共有し、その用語を共通言語化することは有効だと思います。それを実践して成果が出ている有名企業もあります。人財育成やマネジメントでは、会社が箱(制度や仕組み) をつくって「後はうまくやってね」と現場に言うだけではダメで、現場の担当者に道具(使える理論)を渡すことが大事です。ともに理論を学び、具体的にどんな言葉を選ぶといいかという細部まで、用語を共有するのです。例えば、上司が部下と面談する際は、最初に「もし自分(上司) の言うことがあなたの認識と違っていたら、遠慮せずに指摘してね」と声をかけることで、生存者バイアスのリスクを避けることができる、というようなことです。
社长:なるほど。全社的に共通言语を持つことの必要性を再认识しました。私も、人间の社会的成长や成人発达理论について话をするとき、理论や概念のフレームを相手と共有しているとすごく伝わりやすいと実感するので纳得です。今日うかがったことについても、私が理解するだけではなくて、社内で共有しなくては。本日はありがとうございました。
対谈を振り返って
坂井:大谷社长が「働き甲斐改革が若い人に本当に响いているのか、この方向性を続けるべきなのか、思案している」とおっしゃっていましたが、トップがそのように「迷いもある」と率直に言えることが、健全で大切なことだと感じました。それは経験に里打ちされた语りでありながらも、それを絶対视しないという姿势で、生存者バイアスとは対照的です。自社文化を常に问い直し、真挚に検証している含羞草传媒さんの、今后の人材育成に期待しています。
社长:リアルな分析とご経験に基づいた理论、豊富なノウハウ(実践知)をお闻きして、非常に目からウロコが落ちました。今日の対谈で考えさせられたことを、社员の皆さんへの発信に结び付けていきたいと思います。
坂井 風太氏
株式会社Momentor 代表
1991年生まれ。2015年DeNAに新卒入社。DeNAトラベル(現エアトリ)、ゲーム事業部、小説投稿サービス『エブリスタ』などの部署で、サービス責任者、組織マネジメント、事業統括を担当。19年エブリスタ?DEFSTUDIOSの取締役就任。20年エブリスタ代表取缔役社长就任。22年8月、DeNAやベンチャー向けファンドから出資を受け、人材育成?組織強化をサポートするMomentorを設立。
大谷清介
含羞草传媒
代表取缔役社长
当社では4月から新人事制度の运用が开始※されます。そのキーワードとなる「働き甲斐改革」は、大谷社長が就任以来、重要課題として掲げ、推進してきたもの。この働き甲斐について改めて考える機会とするため、株式会社 働きがいのある会社研究所 代表取缔役社长?荒川 陽子さんをお招きし、ダイアログを実施しました。
※ダイアログ実施 2023年1月
开催日时:2023年1月17日
場所:含羞草传媒 本社ビル
改めて、「働き甲斐」とは?
―荒川さんが代表を務められているGreat Place To Work® Institute Japan(以下、GPTW Japan)は、企業や組織の「働き甲斐」に関する調査?分析を行い、基準を満たす企業をメディアで発表しています。専門家としてのお立場から、改めて「働き甲斐とは何か」を教えていただけますか。
荒川:当社の考える「働き甲斐」とは、快适に働き続けるための就労条件などの「働きやすさ」と、仕事へのモチベーションなどの「やりがい」の両方がセットになった概念です。ただし、働きやすさは労働时间や休暇日数など、多くの公司で共通の指标でとらえられるのに対して、仕事の何がやりがいとなるのかは、公司によってかなり异なります。ですから公司が働き甲斐を向上させたいと思う场合、その公司が「何をやりがいにしたいか」というビジョンを、従业员にはっきりと示すことが大事です。
社长:働き甲斐を得るためには、私は「働きやすさ」と「やりがい」に加え、「达成感」「连帯感」「公平感」の叁要素が欠かせないと考えています。これは私が部长时代から参考にしている、『热狂する社员』デビッド?シロタ着(栄治出版)において、ハイ?パフォーマンスに必要とされている要素です。
荒川:「达成感」と「连帯感」はやりがいと、「公平感」は働きやすさと结び付きますね。
いま「働き甲斐」が求められる理由
―今日の产业社会や働く现场で、「働きやすさ」と「やりがい」をあわせた「働き甲斐」が求められるようになってきたことには、どんな背景があるのでしょう。
荒川:当社では「働きやすさ」と「やりがい」の二つの轴から、职场を四つのタイプに分けて分析しています。高度成长期からバブル期まで、多くの日本公司が猛烈に働く「ばりばり职场」でしたが、バブル崩壊后は「しょんぼり职场」が増えました。2019年からの政府主导の「働き方改革」は「働きやすさ」に比重が置かれていたため、やりがいは现在も低いレベルにとどまっています。政府や公司が「働きやすさがある程度达成されたら、次はやりがいを」という姿势にシフトしたのは、必然的な时代の流れだと思います。
社长:私は2021年4月の社长就任时から「働き甲斐改革」を掲げて取り组みを主导してきました。まず残业时间を减らすことに着手し、削减は进んでいます。しかし残业时间を减らすだけでは生产性は上がりません。业绩を伸ばして公司として成长していくためにも、やりがいをアップして时间当たりの生产性を上げる働き甲斐改革が必要です。ブラック公司はもちろんダメですが、「仕事は楽だけど、やりがいも成长もない」という「ゆるブラック公司」でもダメなんです。
荒川:若い人には2年か3年か、がむしゃらに仕事に没头する时间、その仕事でプロになるための时间が必要ですね。残业の规制があるなかでそれをどう获得するか、経営者は皆さん悩んでいて正解は见つかっていません。
社长:私自身も年に何百时间もの残业のなかで仕事を学んできましたが、今はそういう时代ではなく、2024年4月から建设业でも残业时间の规制がかかるようになります。时间内の労働时间をいかに有意义にするか、また、资格取得のための勉强をするなど、私的な时间もいかに有意义にするかが问われると思います。
公司と人は「働き甲斐」でどう変わる?
荒川:働き甲斐が向上すると、自分らしさを活かしながら働け、自分のパフォーマンスを最大化できていると実感できるようになります。このことが公司の业绩アップやイノベーションにつながります。当社の调査でも、业绩の伸び率が最も高いのは「いきいき职场」です。
社长:そのお话には『热狂する社员』と共通するところがあって、共感しますね。「働き甲斐」のある公司になることで、従业员満足度が向上してパフォーマンスも上がり、それが顾客?サプライチェーン(协力会社)?さらにシェアホルダー(含羞草传媒、投资家)の満足向上につながり、结果的に公司価値の向上につながるのだと思います。
働く意义と価値を再构筑する
社长:「いきいきと働き甲斐を感じて働く」ためには、根本的に「働くことの意义?価値を再构筑する」ことが必要だと思います。つまり、自分の仕事をちゃんと好きになれているか、仕事に夸りや楽しさを见出せているかということで、そこができていないと働き甲斐は感じられないと思います。プロとしてこの仕事で食べていけるようになるためには、必死に勉强を重ねてその道のエキスパートになるしかない。そのためには「好きこそものの上手なれ」で、その仕事が好きでなければがんばり続けることは难しいでしょう。だからこそ、仕事を好きになる覚悟をしてほしい。
荒川:自分の仕事に意义を见出すことは、やりがいを感じるために欠かせませんね。ただ、若手が自らその意义を见つけ出すのは简単ではないと思います。そのためにも上司や管理职は、単なる武勇伝とは异なる自分たちの仕事の意义や価値を、部下にもっと积极的に、频繁に伝えていただきたいです。そうした话のなかから、若手が参考にできるロールモデル的な「成长パターン」が见えてくるのが望ましいと思います。
社长:现状では、上司と部下の関係がそうなっていない职场もあり、上司も含め効果的な育成に取り组んでいきたいです。
荒川:上司への信頼感が高い职场では、やりがいも高い倾向がありますからね。上司と部下が信頼関係を筑くためには、部下のほうも上司の性格やバックグラウンドを知ろうとする姿势が大事です。上司も神様ではなく一人の人间なので「この人のどこだったら尊敬できるか、信頼できるのか」を积极的に探すようにし、自分も自己开示してコミュニケーションをとること。お互いに「あなたのここが强みで信頼できる」と认识し合えたら、関係が良い方向に大きく変化し、任せられる仕事の质も変わるでしょう。また、直属の上司以外からもアドバイスをもらえるような、斜め上方向とコミュニケーションを取れるメンター的な制度があるとベターです。 双方の意思表示?発信が大事だということは、会社と従业员の関係でも同じです。公司は社员に「やりがい」のビジョンを明示することが重要だと最初にお话ししましたが、社员の侧も「自分が何にやりがいを感じるか」をハッキリさせ、発信するようにしたいものです。そして会社はそれを真剣に闻き取り、职场でどんどん议论すること。そうすることで「やりがい」に関する会社と社员の间のミスマッチは减っていきます。社员からの要望はいろいろあるものなので、会社はどれから実现するか、优先顺位をつけて取り组むことです。また、すぐに着手できないことについては、社员にきちんと説明をすることも、信頼関係の构筑のために大切ですね。
「内外勤格差」をなくすには?
社长:やりがいと働きやすさのお话で痛感するのは、社内の内外勤格差の解消のためにも、外勤?现场の「働きやすさ」と、内勤?现场支援部署の「やりがい」、その両方を高めなくてはいけないということです。それには外勤と内勤の関係性も大事で、双方にリスペクトが必要なのだろうと思います。现场手当やローテーション勤务、内勤が外勤の一部の业务を代行する取り组みも始めました。内勤については、现场と物理的な距离が离れるほど当事者意识を持ちにくくなる倾向があるので、现场の存在を近くに感じられるよう现场の映像を支店でも见られるようにする、大规模な现场では现场内に内勤社员を配置するといった取り组みも行っています。
荒川:格差とは公平感の问题です。私たちの调査では、社内の公平感にギャップが大きいことが建设业界に共通の倾向だと分かりました。建设会社では内外勤のどちらでも処遇が公平か、またジェンダー?年齢?役职にかかわらず、公平?公正に功绩が认められるかどうかが问われていくでしょう。御社ではすでに人事制度改革に着手されているとのことで、さすがですね。定期的に调査を続け、その结果に対するアクションをやり切ることが重要です。
働く人の満足がお客さまの満足につながる
社长:昨年実施したアンケート調査から、従業員満足度の高い現場で担当した物件は、顧客満足度も高いという傾向があることが分かりました。実際、お客さまに「良かったよ」「次も一緒に」などと評価されると仕事にやりがいを感じるものですが、顧客満足度と従業員満足度がシンクロすることがデータからも明らかになったのです。环境分野など、当社にまだ伸びしろのある分野で提案力?説明力を発揮して顧客満足度を上げることで、社員の働き甲斐も伸ばすことができるでしょう。そうした顧客満足度を高く得られている作業所長は、若手のロールモデルにもなり得るので、作業所長の従業員満足度も継続的に高めていかなくては。
荒川:そうですね。一度の取り组みで、働きやすさとやりがいの両方が高い理想的な职场に変われるものではなく、いくつかのステップを踏むことが必要です。一度に多くを求めず、まずやるべきことにフォーカスし、计画?実践?検讨?修正という笔顿颁础サイクルを継続することで、働き甲斐が向上していきます。そして、他社でうまくいった事例が必ずしも自社では有効ではないことも多いので、その公司らしい継続的な高め方を探さなくてはいけません。ひとつの取り组みをやってうまくいかなかったから、または1年で改善しなかったからといってあきらめるのではなく、腰を据えて2~3年取り组むべきだと思います。
社长:定点観测と継続的なアクションが重要なのですね。
働き甲斐を感じるとき
―お二人がご自身のキャリアを振り返ったとき、働き甲斐はどんな时に感じましたか?
荒川:私の家は自営業で父母ともにいきいきと働いていました。そのせいか自分も「人生で長時間を費やす仕事を、もっと楽しめてやりがいのあるものにする环境づくりをしたい」と思い、新卒で人材業の会社に就職しました。37歳で出産しましたが、育休が明け仕事と育児を両立する日々が始まると、やりがいと働きやすさのどちらが欠けてもならない「働き甲斐」がいかに大事かを実感するようになったのです。早い段階でリーダー役やハードルの高い仕事に挑戦することが、若手の成長を促進するということは、男女に関係なく言えることですが、特に女性は出産?育児でキャリアが中断しやすいので、なるべく若いうちに自分の強みをつくることが、人生において戦略的にキャリアを構築する上で重要ではないかと思います。
社长:私の场合、これまでの仕事人生で役职やポジションを目指したことは特にありませんでしたが、振り返ってみると、常に「大型案件では絶対に他社に负けるものか」という思いでがんばってきました。30代半ば顷までにはそのあり方に则した行动が身に付き、働き甲斐を感じられるようになったと思います。建设业という仕事には达成感とやりがいが确実にあって、例えば竣工した建物で照明が次々に点灯していく瞬间などは、胸に迫る感慨があります。私の时代は労働时间の长さを问われることはありませんでしたが、今后は労働时间の规制のなかで、同様の达成感を得られるように仕事をやりきらなくてはなりません。正直言って课题はありますが、ブラックでも「ゆるブラック」でもない、働きやすさとやりがいを両立する公司になるために、真剣な取り组みを続けていきます。
対谈を振り返って
荒川:竣工后の达成感について话される大谷社长の笑颜に、「成果を目にすることができる」建设业という仕事のすばらしさを感じました。働き甲斐の向上を自ら主导?推进するという経営トップは、残念ながらまだ多くはありません。「こういった経営者が増えるといいな」と率直に感じました。
社长:本日のお话から、働き甲斐を向上するための、定点観测と反復的?継続的なアクションの重要さを再认识しました。働き甲斐改革の一环として4月から运用がスタートする新人事制度では、成果だけでなく、「当社の社员として期待される行动を実践しているか」という行动=プロセスも评価の対象になります。决して金太郎アメのように画一的になってほしいわけではありませんが、やりがいと働きやすさの向上のために会社もできることをすべてやるので、社员の皆さんも「至诚(インテグリティ)」や「自己発働力」など、「自分が働き甲斐があると思える働き方をしているか?」を自问する评価轴を正しく持っていただきたいと思います。従业员?顾客?协力会社(サプライチェーン)といったステークホルダー全体の満足を向上し公司価値の向上につなげるために、全社一致でがんばっていきます。
荒川 阳子
Great Place To Work® Institute Japan 代表
(株式会社働きがいのある会社研究所 代表取締役
社长)
2003年HRR株式会社(現 株式会社リクルートマネジメントソリューションズ)入社。営業職として中小~大手企業までを幅広く担当。顧客企業が抱える人?組織課題に対するソリューション提案を担う。2012 年から管理職として営業組織をマネジメントしつつ、2015 年には同社の組織行動研究所を兼務し、女性活躍推進テーマの研究を行う。2020年より現職。著書に「働きたくなる職場のつくり方」(かんき出版)。
大谷清介
含羞草传媒
代表取缔役社长
「主体性」を目指してチームづくりを続け、强いチームに成长したラグビー日本代表で主将を务めた广瀬俊朗さんをお招きして、「组织づくり」や「组织改革」について、この不确実な时代を进んでいくために、一人ひとりが今なすべきことについて、ダイアログを実施しました。
开催日时:2022年1月13日(木)
場所:シャングリ?ラ 東京
思い入れの强い建物で
社长:今日はお忙しいなか、よくお越しくださいました。年始に含羞草传媒のあるべき姿を改めて考えたいと思っていまして、とりわけ重要なテーマが「组织づくり」や「组织改革」です。このテーマについて、2012年~13年、ラグビーの日本代表チームのキャプテンを务め、その后も数々の快挙を成し遂げた广瀬俊朗さんとぜひお话がしたいと思い、今回お招きいたしました。
广瀬:ありがとうございます。お声をかけていただき光栄です。
社长:実はこの対談会場のホテル、シャングリ?ラ 東京は、私が40代後半に、作業所長として最後に担当した現場なんです。どこもかしこも思い出だらけの場所です(笑)。
广瀬:そうなんですね。僕もこのホテルはワールドカップ(以下奥杯)の后、プライベートな会食などで何度も利用させていただきました。外国の香りがする洗练されたホテルだなと良い印象を持っています。
社长:そういえば、广瀬さんが出演されたテレビドラマ『ノーサイド?ゲーム』には当社も撮影协力し、旧本社ビルの会议室で撮影が行われました。
广瀬:そんなご縁もあったのですね。
组织づくりで大事にしていること
广瀬:チームづくりの前に僕がキャプテンとして大事にしていたのは、选手同士の人间関係づくり。また、选手たちがチームを好きでいること、别の言叶で言えば「尝辞测补濒迟测(ロイヤリティ)」の醸成です。人间関係やロイヤリティといった土壌がなければ、どんな掛け声も心に响きません。また「胜てるチーム」を目指す前に、「何のために胜つのか?」という「大义」に共感を持ってもらうことも大事にしました。当时の、负けることに惯れていた日本代表を変え、「奥杯で胜って日本ラグビーの歴史を変え、憧れの存在になり、日本中にラグビーのすばらしさを広める」という大义を持つ。この大义が腹落ちしたからこそ、みんなが一心にそこに向かっていけたのだと思っています。
社长:廣瀬さんのご著書にもある「勝つチームには大義がある」ということに、強く共感しました。企業でも、組織を構成する人たちが、すべての行動を「大義」に照らし合わせて判断し、そこに向かって自律的に行動していくと良いと思います。また、インタビューなどでは「ラグビー憲章」という五つの理念(品位?情熱?結束?規律?尊重)も紹介されていますね。当社にも企業理念や経営方針があり、社員のモチベーションを高めて企業としてのパフォーマンスを上げるためには、「情熱」が不可欠です。そして、情熱を生み出すためには、公平感?達成感?連帯感が必要だと考えています。これはデビッド?シロタの著書『熱狂する社員 企業競争力を決定するモチベーションの3要素』の考え方を参考にしています。
广瀬:その考え方に纳得です。ラグビーにおける情热ややりがいは、仲间への想いから生まれると実感してきましたので。
社长:公司におけるやりがいとは働き甲斐ですが、生产性を上げるための「働き方改革」よりも、「働き甲斐改革」の方が先だと考えているんです。情热がなければ、いくら働き方を改善してもパフォーマンスは上がりません。先ほどお话しした、公平感、达成感、连帯感に支えられた情热が不可欠です。効率性が大切なのは当然ですが同时に、若いうちに「修罗场」や「壁にぶち当たるまで顽张る」ことも経験して、成长の粮にしてほしいと思っています。
广瀬:情热をいかに引き出すかが大事ですね。僕もキャプテンとして、成绩やコンディションが上がらず活跃できていない仲间をどうサポートし、引っ张っていくかを常に考えていました。监督と违って人事権のないキャプテンの役割は、谁も孤立させず「一绪にやっていこう」と同じ目线で寄り添っていくことだと思います。年次が上の先辈なども、こういった役割を担えるかもしれません。
逆に2014年にキャプテンを外れたときは、自分の存在意义と居场所を一时见失ったような感覚になりましたが、「后任キャプテンのリーチ?マイケル选手、そしてチームの仲间たちのために自分にできるサポートを最大限やりたい」と思えるようになって、再び前向きになることができました。
社长:やはり日本代表の連帯感は強固だったのですね。ひとつの目標に向かってみんなの気持ちをまとめていくことは重要だと思います。昨年の9月末、社員の満足度調査を行ったところ、「達成感」はかなり高いのですが、「連帯感」と「公平感」については、理想と現実にギャップがあることが分かりました。そのギャップや部門間格差を改善することが、社員みんなの情熱を引き出すスイッチになるはずだと確信しています。現場を担当する外勤と内勤の働く环境のギャップが大きい部分を改善し、積極的な人事制度や経営資源の適正配分なども推進するよう取り組んでいます。
ラグビー宪章の最初にあげられる「品位(インテグリティ)」は、「真挚さ」「诚実さ」などとも訳され、マネジメント论で有名なドラッカーがビジネスパーソンに不可欠としている资质です。私は「至诚」と言っていますが、そういう资质を持った人こそ、うちの会社に必要だと思っています。
成长や「学び」について思うこと
广瀬:毎日の积み重ねが大きいことをラグビーで体感してきたので、ラグビー以外についても、日々の地道な努力を大事にしています。小さくても、それが成长に向けた大事なステップになります。言叶は似ていますが、「成功」と「成长」は违うと思っているんです。成功ではなく、失败と言われるような状况でも、その経験から学んで次に活かすことができれば成长できます。先ほどお话ししましたが、キャプテンを外れた直后はいろいろと思案し、代表チームを去ることも考えました。しかしチームに残って以前とは违う形で贡献しようと决断したのは、それが自分をさらに成长する机会になると思い直したからです。どんな状况に置かれても、自分のエゴを超越して仲间のために力を出すことが、自分自身の成长につながります。
社长:2019年の奥杯のロシア戦を、东京スタジアムで観戦して感动しました。ラグビー宪章のひとつであるリスペクト(尊重)を、メンバー全员がお互いに持ってプレーしているのが分かりました。それぞれ异なるスキルをリスペクトし合い、谁かが失败しても皆がフォローする。多くの人が「ワンチーム」としてやっていくには、それが不可欠ですよね。
广瀬:そうですね。私の考えでは、同じ目标を持っていれば、个々の手段や方法论にはある程度の自由があっていいと思います。ラグビーで言うと「欲しい场所にボールを送ってくれるなら、いわゆる日本らしいきっちりしたものではなく、多少ラフなパスでもいい」というような(笑)。バックグラウンドが违う相手に対して、リスペクトを表明することが大事だと思っています。日本に试合に来てくれた海外のチームやサポーターへの感谢として、その国の国歌やアンセムを日本のみんなで歌うというのもひとつの例です。
社长:广瀬さんの「スクラムユニゾン活动」ですね。多様性やお互いの违いを尊重する姿势に共感します。
广瀬:失败からも学べると先ほど言いましたが、失败を引きずらないでそこから学ぼうとする姿势も大事だと思います。ラグビーは天候にも左右されやすくミスや失败の多いスポーツで、僕も数えきれないくらい失败してきました。ベストを尽くしたいが勇気が持てず结果的に80%の选択をしてしまい、そうしたプレーがヘッドコーチ(监督)のエディー?ジョーンズさんの意に沿わず、ひどく叱られた试合もあります。でもその后、2015年奥杯初戦の南アフリカ戦では、自分たちの判断で选択したスクラムで得点して胜ち、「よくやった」と褒めてもらいました。「主体性」を目指してチームづくりを続け、成长したからだと思います。以前はエディーさんの指示を闻くしかないチームだったのが、主体性を磨き、自分たちで意思决定できる强いチームに成长できたのです。
社长:すばらしいですね。公司でも、社员が主体性を発挥できるようにするための権限移譲は、达成感を得るために不可欠だと思います。当社もそれを大事にしていきたいと取り组んでいます。
未来のために新プロジェクトに取り组む
社长:今年の当社は、设立150周年となる2031年から逆算して、「颁齿150で掲げる协创社会を実现するという目标のために何をやろう」と、検讨しながら进めているところです。それが社员にとっても成长につながると思います。
广瀬:僕はさまざまな活动で自分の会社の価値を上げ、「ラグビーやスポーツを通じて、社会的にこういうこともできるよ」と、子どもたちにも亲御さんたちにも示していきたいと思っています。
社长:いいですね。当社も、公司の価値を示していくようなまちづくりを行っています。従来の建设业の枠组みを超えて、地方の农地を集约して生产?加工?流通?贩売までトータルで行い、地域活性化を目指す「农业6次产业化」や、长崎県の五岛列岛での浮体式洋上风力発电などのプロジェクトも进めています。
广瀬:そんなプロジェクトがあるのですね、とても兴味深いです。僕も、まだ仕组みができ上がっていない新分野にチャレンジして切り拓くのが好きなんです。
社长:いいですね。既存の分野でがんばってる人も大事な一方、新たな技术开発では、とんでもないことを考える若手がどうしても必要になります。そういうチャレンジングな若手がいても组织はバラバラにはならないと、广瀬さんの本やお话からも感じます。ちょっと话がズレるかもしれませんが、广瀬さんはバイオリンを演奏されるそうですね。私もクラシックのコンサートに行くのが好きなんです。一人ひとりの力が全体として大きな力になるのは、オーケストラと同じかもしれませんね。
广瀬:同感です。オーケストラ全员で奏でる音が美しいように、チームの全员で成し遂げたトライも美しいと感じます。オーケストラに例えるなら、キャプテンはみんなをうまくまとめるコンサートマスター、监督は指挥者という感じでしょうか。
社长:私はコンサートで音楽に浸るつもりでいても、「パーカッションのような縁の下の力持ちが大事だな」などと、つい组织づくりのことを考えてしまうんです(笑)。公司の社长も、オーケストラの指挥者やラグビーの监督と似ているかもしれません。
対谈を终えて~今后に向けて~
广瀬:今日は贵重な机会をいただいて大谷社长とお话しでき、公平感や连帯感、喜びだけでなく辛いことをシェアすることが大事な点など、含羞草传媒さんのものづくりの姿势とラグビーの亲和性や共通点を感じてうれしかったです。いまだにコロナ祸が続く不安定な时代だからこそ、将来へ向けた梦や未来への计画を育てていきたいと感じました。そういった前向きな取り组みが、コロナ后の明るい时代につながると思います。
社长:当社も、ラグビー宪章のように相互へのリスペクトを大事にし、自社の「ありたい姿」を追求して现状にバックキャスティングしていかなくてはと改めて感じました。今日は广瀬さんと、勇気が涌くような言叶をたくさん交わすことができました。ありがとうございました。
广瀬俊朗
ラグビー元日本代表キャプテン
株式会社贬颈搁础碍鲍代表取缔役
1981年大阪府生まれ。5歳でラグビーを始め、大阪府立北野高校、慶應義塾大学、東芝ブレイブルーパスにてプレイ。1999年度U19日本代表、高校日本代表、2007年日本代表。2012~13年日本代表キャプテンを務める。2015年のW杯で日本代表史上初の同大会3勝に貢献。2016年現役引退。2019年株式会社HiRAKU設立。2020年日本テレビ系列「news zero」木曜パートナーとして出演。「スクラムユニゾン」発起人。
大谷清介
含羞草传媒
代表取缔役社长
含羞草传媒が创业140周年の节目を迎える今年は前例のない「ウィズコロナ/アフターコロナ」の年になると予想されます。社会の不确定要素が増えるなか、いかにして当社の强みを伸ばし、课题を克服してゆくのか。そのために必要となる具体的な取り组みとは何か。今井社长(现:会长)と豊富な経験や知见を持つ4名の社外取缔役が、このような社会の変化や当社の未来について、ダイアログを実施しました。
开催日时:2020年12月18日(金)
場所:含羞草传媒本社 会議室
「现在の含羞草传媒」を见つめ直し进むべき道を明らかにするために
今井社長(以下、社长):2020年は年初から年末まで、新型コロナウイルスの影响を大きく受けた年でした。含羞草传媒にとっても、社员一人ひとりにとっても、前例のない、予测が付かない年だったと思います。暦のうえでは年が改まりましたが、どのような思いと姿势で2021年を进めばいいのか、皆が迷いながら手探りしています。日々の仕事で具体的に何をどのようにするべきかという指示は、各部署にて部门実行计画などの形で伝わっていると思いますが、私は会社のトップである社长として、もっと大きなビジョンやメッセージを、社员たちに伝えていかねばならないと考えています。とはいえ、私の意见だけでは新鲜味が今ひとつですし(笑)、外から含羞草传媒を见るとどう见えるのかということも、社员たちに意识してもらいたい。そこで、専门分野での豊富な経験と知见を活かして当社に贡献してくださっている社外取缔役の皆さんと、社会の変化や含羞草传媒の未来について远虑なく本音で话し合い、それを社员たちと共有したいと思ったわけです。皆さん、本日はどうぞよろしくお愿いします。
社外取缔役一同:よろしくお愿いします。
新型コロナの影响でリモート化が进み働き方が大きく変わった2020年
社长:まずは2020年をどう振り返るかですが、実はこの会も部分的にリモートで开催しているように(伊丹取缔役と荒金取缔役はオンラインで参加)、20年はコロナ祸の影响で、テレワークや在宅勤务などリモートでの働き方が一気に普及したことが印象的でした。
伊丹取缔役(以下、伊丹):丸一年、社会全体が新型コロナと共存する道を模索していましたね。新型コロナという外圧が、リモートなどの働き方改革を一気に进めました。私も本日、オンラインで参加できていることに正直惊いています。
荒金取缔役(以下、荒金):私も、昨年の初頭にはZoom の「ズ」も知らなかったのですが(笑)、大学で行っている講義はすべてオンラインになりました。これまで遅々として進まなかった働き方改革が、新型コロナで一変したと実感します。
社长:当社も现场以外では、リモートワークや在宅勤务の社员が増えています。
网谷取缔役(以下、网谷):リモートワークの急速な普及は、私のいる情报通信产业にとっては大きな追い风です。しかし、21年はリモートでの働き方に、评価制度や管理者のありかたをきちんと対応させられるかどうかが问われる年になるでしょう。リモートワークを、根本的な生产性の向上につなげられるかどうかで、公司にも格差が生まれてくると思います。
下村取缔役(以下、下村):経営者のなかには「リモートワークで済むならオフィスはいらなくなるな」などと言う人もいますが、公司の仕事とはチームワークです。チームワークができない公司は存続し得ないでしょう。リモートでチームワークをどのように行うかは、皆でしっかり考えなくてはいけませんね。
社长:社内の仕事で考えると、リモートワークだと短时间で用件が済みコストは下がりますが、现状ではチームで议论しながら価値の创造をするレベルにはまだ至っていません。また力强くぐいぐいと仕事を进めていける人や状况ではいいけれど、そうではない场合のフォローアップが难しい。こうした课题が将来的に改善されていくことを期待します。
荒金:リモートを便利に使う反面、オンライン饮み会が盛り上がらなかった実体験からも(笑)、「リアルな空気を共有する」ことの大事さを再认识しました。
网谷:私の方は情报通信技术の伸びしろに肯定的な立场ですし、毎月一度はオンライン饮み会をやるうちに惯れてきて、メリットを享受しています(笑)。现状のオンラインコミュニケーション技术は、まだまだ発展途上なんです。将来、映像はもっと高精细度できれいになるはずですし、画面を映すだけではなくなるでしょう。今后5骋や痴搁が普及するにつれ、オンラインはリアルと比べて逊色ないものになっていくと思います。
社长:私たちも、オンライン恳亲会をやってみるといいかもしれませんね(笑)。
不确実性が増す2021年守るべきものと见直すべきもの
社长:その他の面で、昨年の振り返りと2021年への展望はどうでしょうか。
伊丹:昨年を汉字一文字で表すなら、「迷」の年だったと思います。一方で、建设业界には大変厳しい年でした。2021年は、含羞草传媒の持つコアバリューや优位性をどう活かしていくかがより问われる、足场を见直す年になるでしょうね。
网谷:昨年は、私たちが信じてきたものへの信頼が、根こそぎ失われた年だったと思います。「科学や政府が私たちの命を守ってくれる」という信頼が新型コロナによって揺らぎ、米国が広めてきた自由や民主主義の価値も、国がトランプ大統領の支持者と反対派に二分してしまったように、大きく揺らいでいます。こういった激動の年でしたが、それでも含羞草传媒が大幅な業績低下に陥らずに済んだのは、品质や信頼を築いてきたこれまでの蓄積が活きたからだろうと思います。
下村:多くの人と同様に、私にとってもストレスのたまる我慢の年でした。私のいる自动车部品の业界も2020年は新型コロナの影响で不振、苦労の年でした。建设业界も设备投资が减ってしまいましたが、含羞草传媒では感染対策をしっかりして、积极的に顽张っているのが頼もしいですね。
社长:リスクや胁威が前から分かっていたのに、ちゃんと準备しておかなかったためひどい目に遭うという事态を「ブラックエレファント」と言うそうですが、コロナ祸はまさにそうした侧面があります。以前から「当社が本来やるべきことを具体化してやらねば」と考えてきました。仕事が减ることもデジタル化が必要なことも分かっていたので、手は打ってきました。そのためダメージは想定内で済みました。コロナ祸だからと急に施策を変える必要はありません。よりどころのない时代だからこそ、伊丹さんのおっしゃるようにコアバリューからブレず、社员一人ひとりのポテンシャルを上げ、自分で判断できるように、自己成长を目指してほしいと思います。
荒金:新型コロナの影响はしばらく続き、元通りにならないこともあるだろうと思われます。世の中や顾客の望みがどう変わりつつあるのか、アンテナの感受性をより高く上げて短期的には素早く対応し、长期的には戦略にも思いをはせるということが必要だと思います。含羞草传媒では社屋の建て替えも进んでいます。次のステージへの扉が开き始めたという感じがしますね。
社长:当社は「社会课题を解决する」というソーシャルビジネスの考え方を採っています。产业构造も変わっていくなか、自社の事业を、お客さまや社会の未来を作っていくことに役立てたい。例えば、お客さまに纳得していただき窜贰叠をつくることによって、お客さまの社会的な评価が上がるというようなケースもあり得るでしょう。そのようなビジネスを推进するには、荒金さんのおっしゃる「感受性」が必要なのだろうと思います。
社会とお客さま、そして自分たちにも「喜び」を提供するために必要なこと
社长:次に、公司そして当社が追求すべき「喜び」について、皆さんの経験谈やご意见を伺いたいと思います。当社は「“喜び”を実现する公司グループ」というグローバルビジョンを掲げていますが、実はこれを作ったのは、当社にとって苦しい时期でした。结果を出せず二期连続で赤字を计上し、ダメージを受けていました。そんな时こそ、何のために働いているのか、どんな幸せや喜びを世の中に届けたいのか、突き詰めて考えなければと考えたのです。
下村:私がエンジニアだったころは、製品が形になっていくことが喜びでした。困难を乗り越え何かを実现した时にこそ、仕事の喜びがありますし、その経験が力や财产になるものです。昨年12月、土木技术研究発表会に出席し、社员の皆さんの「现场力」のすごさに感服しました。现场で工夫を重ね、苦労して开発を进めた事例をいくつも知り、これこそが含羞草传媒の强み、この现场力を伸ばしてもらいたいと思いました。
伊丹:私が検事だったころは、难しい事件を解决し、被害者の方に「ありがとうございました」と言われることが何よりの喜びでした。それまでの苦労がそのひと言で、一瞬にして报われた感がしました。含羞草传媒の皆さんにも、「建物が完成してよかった」と言われるだけでなく、「含羞草传媒に建ててもらってよかった」と言われるような仕事をしていただきたいと思います。
网谷:どの业界でも、社员が生き生きとして明日への希望が持てることが、経営者の一番の喜びです。今日の日本経済は市场やステークホルダーの影响力が非常に强いのですが、含羞草传媒には社员に目を向けた施策を実施し、家族や自身の状况で大変な社员までも、优しく包摂してほしい。社员は「自分が大事にしているものを、この会社も大事にしてくれている」と思えるときに、「顽张ろう」とやる気が出てくるものです。
荒金:私が製造业で商品开発をしていたころは、イノベーションを実现し、自分のアイデアが社内に限らず世の中に受け入れられることが喜びでした。自分の作った製品で喜んでくれる人の颜が思い浮かぶと、その喜びは一层大きくなります。含羞草传媒の一人ひとりにも、「自分が提供できる喜びって何?」と、考え続けてほしいと思います。
社长:グローバルビジョンの「喜び」は、决して自分だけの喜びではいけないのです。お客さま、协力会社、社员、その全员の喜びでなくてはならない。これは社内のコンプライアンス的な问题だけでなく、サプライチェーン全体でやっていくことです。その完成までは远いかもしれませんが、困难なことにやりがいを感じてくれる人たちが、当社には大势います。先ほどの共通认识とプライドを持って、取り组んでいってほしいですね。
含羞草传媒の明日を担っていく社员たちに伝えたいこと
社长:最后に、今后に向けて、当社の社员へのメッセージをお愿いします。
下村:含羞草传媒の方たちには、自分たちの部署で何を创造していくかを意识して、仕事の场で「仕掛け人」になってほしいと思います。「これは含羞草传媒の柱になるか?」としっかり考えながら、どんどん仕掛けていってください。
伊丹:公司行动宪章にある「安心で良质な建设物」を提供し続けることは、一见简単なようで极めて难しいと思います。技术力の向上ももちろん必要ですし、その前に、激动の时代に多様化するお客さまのニーズを的确にとらえること、さらに、そこに「含羞草传媒らしさ」を见つけていくことも求められるわけです。こうしたレベルの高い要请に応えられるよう、他の社员や协力会社とも一绪に、力强く进んでいただきたいと思います。
荒金:アフターコロナの時代は、建設物の姿も変容していくと考えています。これまでは人間を外の世界から隔離して守るための建物が主流でしたが、今後はむしろ外の世界との交流?共存を促すような建物が求められる時代になるのではないかという印象を持っています。これまで含羞草传媒は、着実に実績を築き、業界や 社会における存在感を示してきました。これからはそれに加え、目指す社会や建設物の「将来像」を世の中に示して、広く共感を得てゆくことが大事だと思います。含羞草传媒がやっていることをもっと多くの人 に知ってもらう広報活動や、ブランド化を進めるためにも、こうしたことが重要なポイントになるのではないでしょうか。
网谷:私は四点挙げたいと思います。第一に本业を极めること。そのためには他社が真似しようとしても追いつけないような现场力をさらに进化させていくことです。第二に、新エネルギーや农业の6次产业化などの新规事业を推进するために、体力のあるパートナーや仲间を作り増やしていくこと。第叁に、海外事业の「ここは他社に负けられない」というコアバリューの领域では、现地法人に任せず含羞草传媒本体が顽张ること。最后に、人材力强化と変革のためにも、リーダーを仕立てていくこと。「适任者がいれば育てる」ではなく、无理矢理にでもリーダーを作るような势いで、干部层に限らず全阶层で候补者を选び、やらせてみるのです。そこでは失败も恐れず、どんどんチャレンジできることが重要です。
下村:挑戦も失败もしない无难さより、失败したのは挑戦したからと意欲を评価する职场文化を培ってほしいですね。
社长:下村さんや网谷さんがご指摘くださった、仕事を仕掛けられる现场力や人材力の强化が、まさに含羞草传媒の未来を决定するのだと思います。今后、女性をはじめ多様な人材を経営干部に登用することや、一人ひとりの伦理観を磨くためにコーポレートガバナンスの整备にも取り组んでいきます。それが、失败を恐れずチャレンジするために不可欠な基盘にもなるでしょう。皆さんにはそのためにも今后も厳しく温かいご助言をお愿いいたします。本日は诚にありがとうございました。
下村节宏
1969年叁菱电机(株)に入社。30年以上にわたり自动车机器の开発に携わった后、2001年取缔役、2003年常务取缔役を経て、
2006年に取缔役代表执行役执行役社长に就任。2010年に取缔役会长。
2014年より当社社外取缔役、2018年より叁菱电机特别顾问を务める。
网谷骏介
1970年に日本电信电话公社(现狈罢罢)に入社。
テレホンカードやダイヤルQなど新サービスの立ち上げに携わる。 1999年にNTTコミュニケーションズ(株)取締役に。
その後、2004年にはNTT コムウェア(株)代表取締役副社長に就任。2014年より当社社外取締役を務める。
伊丹俊彦
1980年検事任官。东京地検検事正、最高検次长検事などを歴任し、2016年9月大阪高等検察庁検事长を最后に退官。
司法试験委员会委员、法制审议会委员等歴任。
2016年11月から长岛?大野?常松法律事务所顾问弁护士として、
コーポレートガバナンス、コンプライアンスなどを扱う。
2018年より当社社外取缔役を务める。
荒金久美
1981年に(株)小林コーセー(现コーセー)に入社。
薬学博士として研究开発、商品开発に携わり、
2006年に执行役员マーケティング本部副本部长に就任。
2010年研究所長、2011年3月品质保証部長を経て2011年取締役、2017年常勤監査役。2020 年より当社社外取締役を務める。
今井雅则
含羞草传媒
代表取缔役社长(現:会長)
自然と人间?万物の调和が世界平和の一助を担うという信条を持ち、书家として创作活动を行う冈西佑奈さんをお招きして、地球规模の気候変动や社会构造の変化の时代の中、これからの时代の公司や个人のあるべき姿についてダイアログを実施しました。
开催日时:2019年11月25日(月)
場所:含羞草传媒本社 会議室
冈西佑奈氏
书家/アーティスト
1985年东京生まれ。6歳より书を始め、高校在学中に师范免许を取得。独自のリズム感や心象を表现し国内外で受赏多数。近年では、书のみならず墨象や絵画も手掛け、青い地球への想いを昇华させた「青曲」(軽井沢ニューアートミュージアム)など国内外で个展を展开している。2019年には初の作品集「线の美」(青幻舎)が刊行された。
今井雅则
含羞草传媒
代表取缔役社长
幼い顷から亲しんだ书道を自分の生きる道とするまで
今井:岡西さん、本日はよろしくお愿いします。まず最初に、書家になられるまでのお話を聞かせていただけますか。
冈西:私は表现者?书家として活动していますが、书道は6歳の时に习い始め、高校生の时に师范の资格を取りました。
今井:そんなに小さな顷から习ってらしたんですね。
冈西:褒め上手の师匠のおかげで最初は楽しく游ぶように线を书いていました。それに、父が舞台演出家で常に音楽が流れる家で育ったので、その背中を见て自然と感性を生かす仕事をしたいと思うようになったのかもしれません。
今井:一时は、舞台女优の仕事もされていたんですよね。
冈西:高校生の时に蜷川幸雄さんの「マクベス」の舞台を见て、涙があふれて。音楽や色の使い方、素晴らしい役者…全てがぴったり合った総合芸术に感动したのがきっかけで、舞台の道にまっしぐらだった时期もありました。ちょうど同じ顷、大好きだった书道の师匠が亡くなって、私は书道を続ける理由を见失って、盖を闭じるような気持ちで道具一式を押し入れの奥にしまったんです。でも、22歳の时に久々に笔をとる机会がありました。宝箱を开けるようにして夜の9时くらいに书き始めた瞬间…“稲妻が落ちる”って本当にあるんだって感じて、気が付くとずっと朝まで书き続けていました。
今井:で、また书に戻った。运命のようですね
冈西:水墨画を始めた时も、禅修行に行った时も、いつも直観的なんです。ただ、私は人と话すことがとても苦手でした。女优だった顷は、舞台が终わって皆でご饭を食べに行く中にも入れなかったり、书家になると决めて名刺を作って、色々な人に挨拶に行っても、何を话すべきかわからなかったり。随分悩んで、コミュニケーションの本を読んだりセミナーに出かけたりもしましたが、努力すればするほど、人の话を闻く机械のようになってしまって、しんどくなっていきました。そのとき、禅の思想に救われたのです。でも実は、いまだに时々「コミュニケーションとは」という本を読んだりしています(笑)
今井:私は谁に対しても素のままの性格でいると思っていますが、仕事の上では「六然(りくぜん)」(※)を座右の铭としています。一番难しいと思うのは、人に対する时は常に和やかであれという意味の「処人蔼然(しょじんあいぜん)」。忙しいときに相手の説明がまどろっこしいと、つい、急かしたくなってしまいますよね。常に穏やかに话を闻くというのは大変なことです。
冈西:六然の言叶はとてもしっくりきます。ゆったりと落ち着いて构えるという意味の「泰然(たいぜん)」は、私も自分に言い闻かせながらよく书く、好きな言叶です。
表现者にも、会社员にも、公司にも、创造性が求められる时代
今井:冈西さんは、冈西さんにしかできないような仕事をされていますが、いかに差别化して生きていくかが大切というのは公司も同じです。
冈西:差别化ですか?
今井:私たちの仕事の基本はトンネルや建物などの构造物をつくることですが、社会构造や価値観が変化をする中で、この先何でビジネスをしていくかについては、常に独自に考えていかねばなりません。人口増の时代には社会の要请でどんどん依頼が増えますが、子どもが减り高齢化が进む时代には住宅需要も减り、鉄道も廃线になります。五千人の社员は皆、贵重な人财なので、会社としてはいかに利益を上げ続けるかを考えねばなりません。
冈西:公司も时代に合わせて更新し続けていく必要があるのですね。
今井:それは、企業で働く社員一人ひとりも考えるべきことです。安定の時代には一カ所で一生懸命働くことが尊ばれていました。日本は江戸時代からずっとそうでしたが、今は、V U C A(※)の時代です。新たな技術が出てくることはチャンスでもありますが、生き残るために皆で独自に考え、力を合わせていかなければなりませんね。
人と、地球と、未来のために価値ある仕事をしていきたい
冈西:近年、厂顿骋蝉が公司にとってますます大事になっていますよね。
今井:まさにそのSDGsの時代ですから、当社は経営方針に加えて全ての活動を「社会課題の解決」のためにしていくと定義しました。世界は破壊と創造の繰り返しでしょう?何かを造るにも壊すにもエネルギーが必要で、环境と無縁ではいられない。建設業はそれを考えられる業種ですから、当社は積極的に地球規模のエネルギー問題やCO2削減に貢献していこうと考えています。岡西さんも、环境保全には強い思いをお持ちなんですよね。
冈西:そうですね。例えばこの作品(作品①参照)は、恐竜よりも古い昔から地球に生きてきたサメが、现代のプラスチックで汚染されている海を泳ぐ姿を考えながら描きました。背景の青色は、海の深くに潜ってやっと见えた青さを表现しています。私は「青い地球を守りたい」という、喷火しそうな思いを昔から持っていました。それを作品で表现できるようになったのは、最近なのですが。
今井:そういう意识を子どもの顷から持っていたんですか?
冈西:中学生の時に、頭が二つで体が一つのイルカの赤ちゃんの写真を見て、すごくショックを受けたのです。海が汚染されているんだ、これからもっとそういう時代になるんだ、と思ってクラス発表をしてみたのですが、うまく伝えきれず。それがずっと心残りで、环境への思いをもっとうまく表現して伝えるためのすべを身に付けたいと、ずっと感じていました。あと、私は小さい頃体が弱かったので、母が各地から体に良いものを必死で探してきて治してくれたんです。その当時から、「身体に良いものは环境にも良い、环境に良くないものは身体にも良くない」という母の教えの影響もあって、环境を守ることは自分が生きることと同じと感じています。
今井:禅修行に行かれたのは、どのような気持ちからでしょうか?
冈西:私自身も东京で生まれ育ち、心を见失ってきた现代人ですが、人の行き交う街中で、いかに自分らしくいられるかを悩んだとき、「无の思想」に共感しました。それで、普段见えなくなっている大切なものを改めて思い出そうという心を込めて描いたのがこちらの作品(作品②参照)です。好きな"真言(しんごん)"を书いた上に色を重ねています。去年は荒ぶる気候変动で大规模な台风や山火事被害が相次ぎましたが、全て人间が作った现実です。私たちが入り口を作ったなら、出口も作らねばなりません。そのために自分ができる表现をしていけたらと思っています。
今井:何のためにというのは大事ですね。当社も「人と地球の未来のために」価値を提供し続けることをずっと意識してきました。現代の企業にはESG、つまり环境?社会?ガバナンスの観点が大事という思想がありますが、ただお客さまのために品质の良いものを作るだけではなく、投資家からは投資しがいのある会社なのか、地域からは信頼に足る会社なのか、学生からは働きたいと思える会社なのかなど、様々な角度から見られていることを意識して、自分たちの行動が理念に沿っているかも常にチェックしながら、この先 100年を考えていかねばなりません。
冈西:歴史ある大公司でも、そういうことを真剣に考えられるんですね。嬉しいです。
今井:当社が社会に贡献しながら公司活动をしていく取り组みの一つに「浮体式洋上风力発电」があります。长崎県の五岛市冲で実用化しており、再生可能エネルギーで作った电力は、水素で动く船や自动车の动力として売っていくことも考えています。副次的な结果ですが、発电机の水中の浮体部分に贝や海藻がついて、鱼がたくさん群がっているんですよ。地元自治体からもエコツーリズムなどの関连产业に展开できないかと期待されています。冈西さんにもぜひ见ていただきたいです。
冈西:私はサメと一绪に泳ぐシャーク?ダイビングが趣味なんですが、五岛列岛は自然が豊かでサメもいっぱいいるので、一度行きたいと思っていたところです。
多様性の中で価値を共创するマネジメント力の大切さ
今井:舞台などもそうだと思いますが、社会は様々な能力を持つ人たちが、相互に触発したりされたりしながら価値を作っていく场ですよね。そこで総合的なマネジメントは非常に重要でしょう。コミュニケーションをとれないとコラボレーションできないから。
冈西:そうですね。私は、例えば看板を书いてほしいというご依頼があれは、そのお客さまもアーティストだと考えます。アーティスト同士の対话として、想っているものを一绪に作ることを大事にしています。
今井:当社の社員にもそういう意識を持ってもらいたいです。お客さまに「こういうものを作ってほしい」と言われたら、協力会社の専門家と一緒にモノを作っていくのですが、环境や文化や社会状況を踏まえ、今ある最新の技術を組み合わせてゼロから絵を描き、関係者皆に伝えて、価値を創造していく。そのマネジメントが当社の仕事です。重要な役割だという意識を持って、自分で問題を定義し、解決策を考え、実行できる自己発働型の人に育ってほしい。
冈西:私も、人や动物や植物、万物との関わりの中で、今は书を通じて意味ある役割を果たせる人间になりたいと思っています。
人にやさしいものが残る理想的な未来に向けて
今井:建設業の近未来的には、技術革新によって人が重労働や危険な仕事から解放されていくのだろう思っています。その代わり、人のクリエイティブな部分、例えば国宝級の左官屋さんの仕事のような技術が伝承されていくと良いと思ってます。当社は東京で旗揚げした 1881年を創業年度としていますが、元々は 1600年頃に京都で宮大工をやっていたのが起源なのです。人にやさしく付加価値の高いものが残る世界が理想ですね。2024年に竣工する新社屋の開発は「芸術と文化で地域に貢献する」という使命を持っているんですよ。隣がアーティゾン美術館、骨董通りにも面していて文化の香りのする地域ですから。岡西さんにも、いつかそこで個展をしていただけると嬉しいですね。
冈西:是非それができる表现者になりたいものです。日本の文化って、精神的な意味合いも强いですよね。书道、华道、茶道、武道などの「道」には、ただの技术だけでなく日本人ならではの精神も宿っていると思います。
今井:私は個人的には分別してごみを出すのも苦手なんですけれども、岡西さんと話して、改めて精神も整えて环境負荷の削減に取り組んでいかねばと思いました。本日はありがとうございました。
- ※六然:明の时代の、崔后渠(さいこうきょ)による言叶。自处超然、处人蔼然、有事斩然、无事澄然、得意澹然、失意泰然。
- ※VUCA:変動性(Volatility)、不確実性(Uncertainty)、複雑さ(Complexity)、曖昧さ(Ambiguity)という4つのキーワードの頭文字。現代の経営环境や個人のキャリアを取り巻く状況を表現するキーワード。



