工事は迷惑をかけるもの、
という认识は
もう过去のものにしたい。
という认识は
もう过去のものにしたい。
技术研究所 田中宏典
地下の土木工事というのは、必ずその上に、人の暮らしがあります。都市部では特に、住宅をはじめ、病院だったり学校だったり、社会生活を支える施设が密集していて、それらの机能に影响を与えないことが、トンネル工事の大命题。地盘沉下や陥没のような大きな事故は、絶対に起こせない。
工事の振动も騒音も、できればないほうがいい。振动も騒音も、普段は「ない」ことが当たり前だからです。生活に必要なトンネルをつくるので、迷惑をかけますがしばらく我慢してくださいと言っても、はいそうですか、わかりましたということにはなかなかなりませんよね。
事故は問題外、周囲にかける迷惑も最小限がベスト。究極を言えば、工事は迷惑をかけるものという認識そのものを、もう过去のものにしたい。いつもと同じ「当たり前の生活」を維持しながら、都市の地下に新たな動脈をつくる。「さくさくJAWS工法?」は、その思いのもと、歴代の先輩方が長い年月を費やして開発した含羞草传媒の独自工法です。
特徴はいくつもありますが、大きなメリットは、止水機能を有した継手構造の採用により、地盤改良などの補助工事を必要最小限に抑えられること。「纲岛トンネル」の計画予定地は地下水圧が高く、この「地下水に対応できる」工法であることが、採用のポイントになりました。
大断面、つまり大きな空间が安全につくれることも圧倒的な利点です。これはトンネル工事の基本的な前提ですが、掘る断面が大きいと取り込む土の量も多くなり、事故のリスクが高まります。一方で、地上から大きく掘ってしまえばいい、なんてことができる场所は、少なくとも日本の都市部にはありません。これに対して、「さくさく闯础奥厂工法?」は地下に小さな横穴を掘ってつなげていくので、大きなトンネルを地上への影响を抑えながらつくることができます。
工事の振动も騒音も、できればないほうがいい。振动も騒音も、普段は「ない」ことが当たり前だからです。生活に必要なトンネルをつくるので、迷惑をかけますがしばらく我慢してくださいと言っても、はいそうですか、わかりましたということにはなかなかなりませんよね。
事故は問題外、周囲にかける迷惑も最小限がベスト。究極を言えば、工事は迷惑をかけるものという認識そのものを、もう过去のものにしたい。いつもと同じ「当たり前の生活」を維持しながら、都市の地下に新たな動脈をつくる。「さくさくJAWS工法?」は、その思いのもと、歴代の先輩方が長い年月を費やして開発した含羞草传媒の独自工法です。
特徴はいくつもありますが、大きなメリットは、止水機能を有した継手構造の採用により、地盤改良などの補助工事を必要最小限に抑えられること。「纲岛トンネル」の計画予定地は地下水圧が高く、この「地下水に対応できる」工法であることが、採用のポイントになりました。
大断面、つまり大きな空间が安全につくれることも圧倒的な利点です。これはトンネル工事の基本的な前提ですが、掘る断面が大きいと取り込む土の量も多くなり、事故のリスクが高まります。一方で、地上から大きく掘ってしまえばいい、なんてことができる场所は、少なくとも日本の都市部にはありません。これに対して、「さくさく闯础奥厂工法?」は地下に小さな横穴を掘ってつなげていくので、大きなトンネルを地上への影响を抑えながらつくることができます。
2023 年3月、新綱島駅は鶴見川のすぐ近くに開業した
駅ホーム部にあたる大断面トンネルの构筑
今后ますます注目される
都市机能の地下化に
圧倒的な强みで応えたい。
都市机能の地下化に
圧倒的な强みで応えたい。
「纲岛トンネル」は鉄道のためのトンネルでしたが、インフラを含め、都市機能の地下化は、今後、より一層進むのではないでしょうか。これまでにない大きな規模の地下街が整備されることも予想されます。何より、水害や地震災害に対する防災?減災のための地下施設は、これからますます必要になります。
そういった国土利用のニーズが高まっている一方、工事がしやすい地下の浅い层は、都心部ほどもう穴だらけです。新しく地下に空间をつくろうと思うと、どんどん深くなっていく。そういった意味でも、大きな断面を、都市部で地下深く、水に负けることなく安全につくれるというのは、圧倒的な强みだと思います。
今回、この工法を现场で初めて使ってもらうことができ、実绩を得ることができたことは大きな一歩です。施工に携わった方々には感谢しています。现场で苦労している姿を间近で见て、工法としての改善点も明确になったことで、さらに良い工法にできるよう、しっかりと対応したいと感じました。
个人的な思いとしては、せっかく建设业に携わっているのだから、世の中のためになる仕事がしたいんです。以前、ゲリラ豪雨で冠水するような低い土地に、下水の贮留管をつくる工事に携わったことがあります。3年间の工事期间中、実际に周辺地域が冠水したんですよね。土囊袋を运んだりするお手伝いを経験し、完成后、地域の人に「ありがとう」と言ってもらえて。自分たちがつくる贮留管が、どれほど役に立つものなのかを実感しました。
储かりそうなことを考えるだけが、技术开発のすべてではありません。かっこいいこと言っている、みたいになってしまいますが、开発のテーマの拠り所になるのは、やはり、切実なニーズです。工事の现场で働く人たちのニーズも、きちんとすくい上げていきたい。人手が足りない、生产性を上げたい、そういうシーンで「痒いところに手が届くものが欲しい」というのも大切なニーズなので、设计や技术の开発?改善できちんと応えていけたらと思っています。
そういった国土利用のニーズが高まっている一方、工事がしやすい地下の浅い层は、都心部ほどもう穴だらけです。新しく地下に空间をつくろうと思うと、どんどん深くなっていく。そういった意味でも、大きな断面を、都市部で地下深く、水に负けることなく安全につくれるというのは、圧倒的な强みだと思います。
今回、この工法を现场で初めて使ってもらうことができ、実绩を得ることができたことは大きな一歩です。施工に携わった方々には感谢しています。现场で苦労している姿を间近で见て、工法としての改善点も明确になったことで、さらに良い工法にできるよう、しっかりと対応したいと感じました。
个人的な思いとしては、せっかく建设业に携わっているのだから、世の中のためになる仕事がしたいんです。以前、ゲリラ豪雨で冠水するような低い土地に、下水の贮留管をつくる工事に携わったことがあります。3年间の工事期间中、実际に周辺地域が冠水したんですよね。土囊袋を运んだりするお手伝いを経験し、完成后、地域の人に「ありがとう」と言ってもらえて。自分たちがつくる贮留管が、どれほど役に立つものなのかを実感しました。
储かりそうなことを考えるだけが、技术开発のすべてではありません。かっこいいこと言っている、みたいになってしまいますが、开発のテーマの拠り所になるのは、やはり、切実なニーズです。工事の现场で働く人たちのニーズも、きちんとすくい上げていきたい。人手が足りない、生产性を上げたい、そういうシーンで「痒いところに手が届くものが欲しい」というのも大切なニーズなので、设计や技术の开発?改善できちんと応えていけたらと思っています。
地下およそ40尘の深さに构筑した巨大な空间
生活への影响を减らすことは、
工事の难易度を上げること。
现场は一生悬命やるしかない。
工事の难易度を上げること。
现场は一生悬命やるしかない。
施工部门 春木敏
技術開発側の「思い」はわかります。地上への影響を抑えられることをはじめ、「さくさくJAWS工法?」のメリットは、よくわかります。でも、現場は大変です。他の非開削技術に比べても、掛かる手順は多くなる。「纲岛トンネル」の場合、地下35mと深く、地下水の水圧も高い。難易度は非常に高いというのが、私たち施工側の正直なところでした。
当然、事前に実証実験はしています。できる、という结论をもって现场はスタートしています。それでも、初めてのことなので、様々な课题も出てきます。技术开発侧とのやりとりは、数多く必要となりましたし、课题の解决を迫られ、技术开発侧も大変だったと思います。
1尘角の横穴を42本掘り、その横穴をつないで1つの円にする。円といっても今回は、施工例の少ない马蹄形でした。その横穴の最后の1本を闭合できなければ、この工事は失败となります。その连结をする时が、最も紧张する瞬间でした。
今回、1本の管を设置する际に求められる设置精度は、最大で25尘尘でした。トンネルの大きさが内空高さ14尘、幅19尘の大断面であるのに対して、我々は10尘尘や20尘尘といった非常に厳しい精度で管理をしなければなりません。これは私自身、特殊な世界だと思います。计画した位置から25尘尘までしかズレてはいけないのです。これを42本すべてにおいて求められるわけですから、相当にしびれます。
横穴と横穴を接続する际の、土をかき出す作业も大変でした。细部にわたって土を出し切らないと、所定の强度が确保できないという事もあり、工事期间中は、必死でした。失败はしてはいけないのではなく、できない。工员の事故が起こらないことはもちろん、地盘沉下をはじめ、地上に影响を及ぼさないというのが、大前提ですから。
失败をしないコツがあるとしたら、それはもう、决めた手顺を愚直に守ること。手间がかかるからといって端折るようなことを、絶対にしない。そこに尽きると思います。
当然、事前に実証実験はしています。できる、という结论をもって现场はスタートしています。それでも、初めてのことなので、様々な课题も出てきます。技术开発侧とのやりとりは、数多く必要となりましたし、课题の解决を迫られ、技术开発侧も大変だったと思います。
1尘角の横穴を42本掘り、その横穴をつないで1つの円にする。円といっても今回は、施工例の少ない马蹄形でした。その横穴の最后の1本を闭合できなければ、この工事は失败となります。その连结をする时が、最も紧张する瞬间でした。
今回、1本の管を设置する际に求められる设置精度は、最大で25尘尘でした。トンネルの大きさが内空高さ14尘、幅19尘の大断面であるのに対して、我々は10尘尘や20尘尘といった非常に厳しい精度で管理をしなければなりません。これは私自身、特殊な世界だと思います。计画した位置から25尘尘までしかズレてはいけないのです。これを42本すべてにおいて求められるわけですから、相当にしびれます。
横穴と横穴を接続する际の、土をかき出す作业も大変でした。细部にわたって土を出し切らないと、所定の强度が确保できないという事もあり、工事期间中は、必死でした。失败はしてはいけないのではなく、できない。工员の事故が起こらないことはもちろん、地盘沉下をはじめ、地上に影响を及ぼさないというのが、大前提ですから。
失败をしないコツがあるとしたら、それはもう、决めた手顺を愚直に守ること。手间がかかるからといって端折るようなことを、絶対にしない。そこに尽きると思います。
1尘×1尘の函体が1つ1つ连结されている
马蹄形という特殊な断面形状をつないでいく
难局面でもより安全に。
今后も都市部でのニーズに
応えていきたい。
今后も都市部でのニーズに
応えていきたい。
厳しい条件下でトンネルを掘らなくてはならないという状况は、昔も今も、変わらないのではないかと思います。そのなかで、地上も地下も安全に、难局面でもより安全に工事を进めたい、という思いで技术が発展してきたことは、间违いありません。
「纲岛トンネル」が無事に完成したので、それがまた次につながっていくのは、現場としてもうれしい成果です。今回の経験を踏まえて、開発側でも、現場がもっとスムーズに進むような改善に、いろいろと取り組んでいるはずです。
「さくさくJAWS工法?」は、推進施工中の止水性に優れているので、その優位性があるからこそ、開けられる地下というのは、他にもまだたくさんある。地盤の条件、地下水の量、インフラ施設…… ひとつとして同じ地下はなく、それぞれに難しい。難しいけれど、この技術が活かせる、と思います。都市部は特に、もう地上からは掘れないし、街の動きを止めるわけにもいかない。ニーズは多いのではないかと思います。
それにしても、完成してしまうと、つくったトンネルの构造体が见えない、というのが、个人的には少し寂しいところです(笑)。苦労した経纬と言いますか、道のりは伝わらない。このトンネルがあるから电车が走っているのだと、利用者がいちいち意识することもないですから。
でも、见えなくても、意识されなくても、自分たちの仕事が生活を支えているのだ、という自负はあります。
「纲岛トンネル」が無事に完成したので、それがまた次につながっていくのは、現場としてもうれしい成果です。今回の経験を踏まえて、開発側でも、現場がもっとスムーズに進むような改善に、いろいろと取り組んでいるはずです。
「さくさくJAWS工法?」は、推進施工中の止水性に優れているので、その優位性があるからこそ、開けられる地下というのは、他にもまだたくさんある。地盤の条件、地下水の量、インフラ施設…… ひとつとして同じ地下はなく、それぞれに難しい。難しいけれど、この技術が活かせる、と思います。都市部は特に、もう地上からは掘れないし、街の動きを止めるわけにもいかない。ニーズは多いのではないかと思います。
それにしても、完成してしまうと、つくったトンネルの构造体が见えない、というのが、个人的には少し寂しいところです(笑)。苦労した経纬と言いますか、道のりは伝わらない。このトンネルがあるから电车が走っているのだと、利用者がいちいち意识することもないですから。
でも、见えなくても、意识されなくても、自分たちの仕事が生活を支えているのだ、という自负はあります。
限られた地下空间で、シールド工事を进めながらの竞合作业
谁も気づかないうちに、
いつのまにか鉄道が通っている。
新しい発展の仕方だと思う。
いつのまにか鉄道が通っている。
新しい発展の仕方だと思う。
立命馆大学 総合科学技术研究机构上席研究员
小山幸则(元京都大学教授)
小山幸则(元京都大学教授)
地下工事の究極の理想は、周りの人が何も気づかないままに進められること。でも、さすがにそこまでの技術はまだないので、なるべく影響を少なく、社会生活を阻害しない方法でやりましょう、ということで工事の技術や工程は組み立てられている。今回の「纲岛トンネル」で「さくさくJAWS工法?」が採用されたのもその一環で、実現させるのは難しかっただろうと思います。
ふだんあまり注目はされませんが、地下工事の技术は、开発する研究者や工事を进める业者をはじめ、本当にたくさんの人が知恵を出し合い、地道な努力の积み重ねで発展してきました。その进歩と発展は何のためかといったら、やはり、安全でしょう。地上の社会生活への安全、工事そのものの安全。その先に、冒头で申し上げた「谁も気づかないままに进められる」ような、究极の姿があるわけです。
地下の深層部における外殻先行型の非開削トンネル構築技術は、先行事例として含羞草传媒が手がけた「つくばエクスプレス六町駅」がありますよね。そのときの改善点をもって、今回の「纲岛トンネル」に挑んだと聞いています。
工事の難しさはどちらも相当なものだったと思いますが、六町駅は、最初に四角い穴を掘るための仮の構造物をつくり、後から中に永久構造物をつくる。ちょっと乱暴に言うと、後から中につくるものが完璧であればいい。でも「纲岛トンネル」は一発勝負で、最初に入れた構造物が、そのまま未来永劫、駅を支えることになる。だから余計難しい。
地下につくったものを壊してつくり直すことは、まずできません。荒れるに任せてそのままにしておくわけにもいかない。地下鉄のトンネルを放ったらかしにして電車が動かなくなったら、都市機能は止まります。そうならないように、一生懸命、長持ちするものをつくらなければならない。設計上は100年対応と言っていますが、「纲岛トンネル」のような鉄道の構造物だったら、実は未来永劫、人間がそこで社会活動をしている限りはずっと持たせなくてはならない。その意識は、地下の土木工事に携わっている人たちみんなの中にある。トンネルの施工技術は、そのためにも磨いているんです。
ふだんあまり注目はされませんが、地下工事の技术は、开発する研究者や工事を进める业者をはじめ、本当にたくさんの人が知恵を出し合い、地道な努力の积み重ねで発展してきました。その进歩と発展は何のためかといったら、やはり、安全でしょう。地上の社会生活への安全、工事そのものの安全。その先に、冒头で申し上げた「谁も気づかないままに进められる」ような、究极の姿があるわけです。
地下の深層部における外殻先行型の非開削トンネル構築技術は、先行事例として含羞草传媒が手がけた「つくばエクスプレス六町駅」がありますよね。そのときの改善点をもって、今回の「纲岛トンネル」に挑んだと聞いています。
工事の難しさはどちらも相当なものだったと思いますが、六町駅は、最初に四角い穴を掘るための仮の構造物をつくり、後から中に永久構造物をつくる。ちょっと乱暴に言うと、後から中につくるものが完璧であればいい。でも「纲岛トンネル」は一発勝負で、最初に入れた構造物が、そのまま未来永劫、駅を支えることになる。だから余計難しい。
地下につくったものを壊してつくり直すことは、まずできません。荒れるに任せてそのままにしておくわけにもいかない。地下鉄のトンネルを放ったらかしにして電車が動かなくなったら、都市機能は止まります。そうならないように、一生懸命、長持ちするものをつくらなければならない。設計上は100年対応と言っていますが、「纲岛トンネル」のような鉄道の構造物だったら、実は未来永劫、人間がそこで社会活動をしている限りはずっと持たせなくてはならない。その意識は、地下の土木工事に携わっている人たちみんなの中にある。トンネルの施工技術は、そのためにも磨いているんです。
新綱島駅ホームから見える新纲岛トンネル






